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歌舞伎十八番 ういろう売り

市川団十郎さんの復帰公演に

僕は、歌舞伎を観るのは初めて。
地下鉄の駅から歌舞伎座への階段は、満員電車のよう。
歌舞伎って、すごい人気なんですね。

ストーリーは僕には難しくて、
観劇するだけじゃ理解できないだろうと思っていたので
リーフレットを買って演目のストーリーを読んで開演をまちましたが

いざ開演すると・・・いやぁ、面白い!
僕は日ごろ文化芸能とはほど遠いくらいをしているので
「歌舞伎」=「伝統芸能」=「難しい」ものと思い込んでいました。

今日の主役は、なんといっても
病気から復帰された市川団十郎さんの歌舞伎十八番「ういろう売り」
演技中に団十郎さんの復帰挨拶が織り込まれていたりと、
貴重な体験をさせていただきました。

お祝い事、めでたいときに演じられる「ういろう売り」。
そのおかげか、久しぶりに気力充実しました。
ありがとうございます。



拙者親方(せっしゃおやかた)と申(もう)すは、お立合(たちあい)の中(うち)に、御存(ごぞん)じのお方(かた)もござりましょうが、お江戸(えど)を発(た)って二十里上方(にじゅうりかみがた)、相州小田原一色町(そうしゅうおだわらいっしきまち)をお過(す)ぎなされて、青物町(あおものちょう)を登(のぼ)りへおいでなさるれば、欄干橋虎屋藤衛門只今(らんかんばしとらやとうえもんただいま)は剃髪致(ていはついた)して、円斉(えんさい)となのりまする。元朝(がんちょう)より大晦日(おおつごもり)まで、お手(て)に入(い)れまするこの薬(くすり)は、昔(むかし)ちんの国(くに)の唐人(とうじん)、外郎(ういろう)という人(ひと)、わが朝(ちょう)へ来(きた)り、帝(みかど)へ参内(さんだい)の折(おり)から、この薬(くすり)を深(ふか)く籠(こ)め置(お)き、用(もち)ゆる時(とき)は一粒(いちりゅう)ずつ、冠(かんむり)のすき間(ま)より取(と)り出(い)だす。依(よ)ってその名(な)を帝(みかど)より、とうちんこうと賜(たま)わる。即(すなわ)ち文字(もんじ)には「頂(いただ)き、透(す)く、香(にお)い」とかいて「とうちんこう」と申(もう)す。只今(ただいま)はこの薬(くすり)、殊(こと)の外世上(ほかせじょう)に弘(ひろ)まり、方々(ほうぼう)に似看板(にせかんばん)を出(いだ)し、イヤ、小田原(おだわら)の、灰俵(はいだわら)の、さん俵(だわら)の、炭俵(すみだわら)のと色々(いろいろ)に申(もう)せども、平仮名(ひらがな)をもって「ういろう」と記(しる)せしは親方円斉(おやかたえんさい)ばかり。もしやお立合(たちあい)の中(うち)に、熱海(あたみ)か塔(とう)の沢(さわ)へ湯治(とうじ)にお出(い)でなさるるか、又(また)は伊勢御参宮(いせごさんぐう)の折(おり)からは、必(かなら)ずお門違(かどちが)いなされまするな。お登(のぼ)りならば右(みぎ)の方(かた)、お下(くだ)りなされば左側(ひだりがわ)、八方(はっぽう)が八(や)つ棟(むね)、表(おもて)が三(み)つ棟玉堂造(むねぎょくどうづく)り、破風(はふ)には菊(きく)に桐(きり)のとうの御紋(ごもん)を御赦免(ごしゃめん)あって、系図正(けいずただ)しき薬(くすり)でござる。

 イヤ最前(さいぜん)より家名(かめい)の自慢(じまん)ばかり申(もう)しても、ご存知(ぞんじ)ない方(かた)には、正身(しょうしん)の胡椒(こしょう)の丸呑(まるのみ)、白河夜船(しらかわよふね)、さらば一粒食(いちりゅうた)べかけて、その気見合(きみあ)いをお目(め)にかけましょう。先(ま)ずこの薬(くすり)をかように一粒舌(いちりゅうした)の上(うえ)にのせまして、腹内(ふくない)へ納(おさ)めますると、イヤどうも云(い)えぬは、胃(い)、心(しん)、肺(はい)、肝(かん)がすこやかになりて、薫風咽(くんぷうのんど)より来(きた)り、口中微涼(こうちゅうびりょう)を生(しょう)ずるが如(ごと)し。魚鳥(ぎょちょう)、茸(きのこ)、麺類(めんるい)の食合(くいあ)わせ、其(そ)の他(ほか)、万病速効(まんびょうそっこう)ある事神(ことかみ)の如(ごと)し。さて、この薬(くすり)、第一(だいいち)の奇妙(きみょう)には、舌(した)のまわることが、銭(ぜに)ゴマがはだしで逃(に)げる。ひょっと舌(した)がまわり出すと、矢(や)も盾(たて)もたまらぬじゃ。

 そりゃそりゃ、そらそりゃ、まわってきたわ、まわってくるわ。アワヤ咽(のど)、さたらな舌(した)に、カ牙(げ)サ歯音(しおん)、ハマの二つは唇(くちびる)の軽重(けいちょう)、開合(かいごう)さわやかに、あかさたなはまやらわ、おこそとのほもよろを、一つへぎへぎに、へぎほしはじかみ、盆(ぼん)まめ、盆米(ぼんごめ)、盆(ぼん)ごぼう、摘蓼(つみたで)、摘豆(つみまめ)、つみ山椒(ざんしょう)、書写山(しょしゃざん)の社僧正(しゃそうじょう)、粉米(こごめ)のなまがみ、粉米(こごめ)のなまがみ、こん粉米(こごめ)の小生(こなま)がみ、繻子(しゅす)ひじゅす、繻子(しゅす)、繻珍(しゅちん)、親(おや)も嘉兵衛(かへい)、子(こ)も嘉兵衛(かへい)、親(おや)かへい子(こ)かへい、子(こ)かへい親(おや)かへい、ふる栗(くり)の木(き)の古切口(ふるきりぐち)。雨合羽(あまがっぱ)か、番合羽(ばんがっぱ)か、貴様(きさま)のきゃはんも皮脚絆(かわぎゃはん)、我等(われら)がきゃはんも皮脚絆(かわぎゃはん)、しっかわ袴(ばかま)のしっぽころびを、三針(みはり)はりながにちょと縫(ぬ)うて、ぬうてちょとぶんだせ、かわら撫子(なでしこ)、野石竹(のせきちく)。のら如来(にょらい)、のら如来(にょらい)、三(み)のら如来(にょらい)に六(む)のら如来(にょらい)。一寸先(ちょっとさき)のお小仏(こぼとけ)におけつまずきゃるな、細溝(ほそどぶ)にどじょにょろり。京(きょう)のなま鱈(だら)奈良(なら)なま学鰹(まながつお)、ちょと四(し)、五貫目(ごかんめ)、お茶立(ちゃだ)ちょ、茶立(ちゃだ)ちょ、ちゃっと立(た)ちょ茶立(ちゃだ)ちょ、青竹茶筅(あおだけちゃせん)でお茶(ちゃ)ちゃっと立(た)ちゃ。

 来(く)るわ来(く)るわ何(なに)が来(く)る、高野(こうや)の山(やま)のおこけら小僧(こぞう)。狸百匹(たぬきひゃっぴき)、箸百膳(はしひゃくぜん)、天目百杯(てんもくひゃっぱい)、棒八百本(ぼうはっぴゃくほん)。武具(ぶぐ)、馬具(ばぐ)、ぶぐ、ばぐ、三(み)ぶぐばぐ、合(あ)わせて武具(ぶぐ)、馬具(ばぐ)、六(む)ぶぐばぐ。菊(きく)、栗(くり)、きく、くり、三菊栗(みきくくり)、合(あ)わせて菊(きく)、栗(くり)、六菊栗(むぎくくり)。麦(むぎ)、ごみ、むぎ、ごみ、三(み)むぎごみ、合(あ)わせてむぎ、ごみ、六(む)むぎごみ。あの長押(なげし)の長薙刀(ながなぎなた)は、誰(た)が長薙刀(ながなぎなた)ぞ。向(む)こうの胡麻(ごま)がらは、荏(え)のごまがらか、真(ま)ごまがらか、あれこそほんの真胡麻殻(まごまがら)。がらぴい、がらぴい風車(かざぐるま)、おきゃがれこぼし、おきゃがれ小法師(こぼし)、ゆんべもこぼして又(また)こぼした。たあぷぽぽ、たあぷぽぽ、ちりから、ちりから、つったっぽ、たっぽたっぽ一丁(ちょう)だこ、落(お)ちたら煮(に)て食(く)お、煮(に)ても焼(や)いても食(く)われぬものは、五徳(ごとく)、鉄(てっ)きゅう、かな熊童子(くまどうし)に、石熊(いしくま)、石持(いしもち)、虎熊(とらくま)、虎(とら)きす、中(なか)にも、東寺(とうじ)の羅生門(らしょうもん)には、茨木童子(いばらぎどうじ)がうで栗五合(ぐりごごう)つかんでおむしゃる、かの頼光(らいこう)のひざもと去(さ)らず。

 鮒(ふな)、きんかん、椎茸(しいたけ)、定(さだ)めて後段(ごだん)な、そば切(き)り、そうめん、うどんか、愚鈍(ぐどん)な小新発地(こしんぼち)。小棚(こだな)の、小下(こした)の、小桶(こおけ)に、こ味噌(こみそ)が、こ有(あ)るぞ、小杓子(こしゃくし)、こ持(も)って、こすくって、こよこせ、おっと合点(がてん)だ、心得(こころえ)たんぼの川崎(かわさき)、神奈川(かながわ)、程ヶ谷(ほどがや)、戸塚(とつか)は、走(はし)って行けば、やいとを摺(す)りむく、三里(さんり)ばかりか、藤沢(ふじさわ)、平塚(ひらつか)、大磯(おおいそ)がしや、小磯(こいそ)の宿(しゅく)を七(なな)つ起(お)きして、早天早々(そうてんそうそう)、相州小田原(そうしゅうおだわら)とうちん香(こう)、隠(かく)れござらぬ貴賤群衆(きせんぐんじゅ)の花(はな)のお江戸(えど)の花(はな)ういろう、あれあの花(はな)を見(み)てお心(こころ)をおやわらぎやという。産子(うぶこ)、這子(はうこ)に至(いた)るまで、この外郎(ういろう)の御評判(ごひょうばん)、御存(ごぞん)じないとは申(もう)されまいまいつぶり、角出(つのだ)せ、棒出(ぼうだ)せ、ぼうぼうまゆに、臼(うす)、杵(きね)、すりばち、ばちばちぐゎらぐゎらぐゎらと、羽目(はめ)を弛(はず)して今日(こんにち)お出(い)でのいずれも様(さま)に、上(あ)げねばならぬ、売(う)らねばならぬと、息(いき)せい引(ひ)っぱり、東方世界(とうほうせかい)の薬(くすり)の元〆(もとじめ)、薬師如来(やくしにょらい)も照覧(しょうらん)あれと、ホホ敬(うやま)って、ういろうは、いらっしゃりませぬか。
by no1kenpa | 2006-05-21 00:53


子育て、ちょっとヘコムこと、イライラすることだってありますよ。でも我が子に会えた「幸せ」さえ感じていれば、優しい自分に戻れるから。普通の現役パパを反面教師に、転ばぬ先の家族の杖にしてね。 


by no1kenpa

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